大うつ病性障害における疲労感と睡眠障害に対するmodafinil付加療法
Adjunct Modafinil for Fatigue and Wakefulness in MDD

Karl Doghramji, MD
Thomas Jefferson Medical College
Philadelphia, PA, USA


疲労感や眠気は、うつ病患者でよくみられる症状である。Doghramji博士によると、うつ病患者の94%で疲労感が、16%で過眠が認められ、疲労感と眠気の両症状は抗うつ薬治療に完全反応した場合でさえもよく認められるという。

少数の小規模非比較試験であるが、中枢神経刺激剤の付加療法によってなんらかの効果が得られたという報告がある。Doghramji博士の研究グループでは、ナルコレプシーや閉塞性睡眠無呼吸症にみられる眠気や、多発性硬化症の疲労に対して用いられている新規覚醒剤のmodafinilが、大うつ病に対して有用である可能性を仮定した。

Methylphenidateとamphetamineに比較したmodafinilの薬理学的特性

 


研究デザインと対象者背景


方法
多施設(11)、6週間、二重盲検無作為プラセボ比較試験
治療法:抗うつ薬+modafinilもしくは抗うつ薬+プラセボ
個人によって最初の1週間は微調節し、その後1週間毎に必要に応じて100、200、300、最高400mg/day用量を処方
対象
両群とも平均年齢45歳
(追記:各群の対象者数については明記されていなかった)
ベースラインのハミルトン抑うつ得点は両群ともに19点
(つまり、対象者は抗うつ薬治療の部分反応者である)
両群で抗うつ薬としてfluoxetineが最も多く使用されていた
(modafinil群14例、プラセボ群19例)
副作用のために治療中断した患者数は両群で同等であった
(modafinil群4例、プラセボ群6例)


疲労感と眠気において、2週目にはmodafinil群がプラセボ群に比較して統計的に有意な改善を示していたが、最終評価時(6週目)には有意差を認めなかった。

結論として、modafinilは抗うつ薬治療部分反応者の疲労感と眠気を軽減させ、忍容性に優れた薬剤であるとした。

レポーター: Elizabeth Coolidge-Stolz, MD
日本語翻訳・監修:昭和大学医学部精神科 尾鷲登志美