TAXUS II Paclitaxel-Eluting Stent(パクリタキセル溶出ステント)試験の12ヵ月間臨床追跡結果
12-Month Clinical Follow-Up of the TAXUS II Paclitaxel-Eluting Stent Study
Antonio Colombo, MD
San Raffaele Hospital
Milano, Italy

TAXUS II試験は、再狭窄を抑制する薬物であるパクリタキセルを長期にわたって遊出するが、機能を異にするTAXUSステントを比較するものである。TAXUS II試験の6ヵ月間の成績は前回の医学会議で発表されている。その成績は、冠動脈において2つの異なったステントは共に効率よく安全にステント内における内膜の新生、2元的再狭窄、そして再灌流を繰り返して行う必要性を減少させたというものであった。

12ヵ月の追跡解析の目的は、clopidogrelによる抗血小板療法を中止した後6ヵ月が経った時点においても安全性と有効性が持続していることを評価するものである。Colombo博士はACCにおいて最新の臨床試験のセッションでTAXUS II試験の12ヵ月間臨床追跡結果を発表した。


この試験では500例以上の患者が登録され、無作為にTAXUS SR(ゆっくりと遊出)、TAXUS MR(やや急速な遊出)、およびコントロールとしてむき出しのメタルステント群に割り付けられた。

6ヵ月目のデータでは冠動脈主要有害事象の累積発生率は薬物溶出ステントを挿入されていない患者で高かった。イベントの発生はメタルステント群では19.8%(263例中52例)であったが、TAXUS SR留置患者では8.5%(130例中11例)、TAXUS MR留置患者では7.8%(129例中10例)であった。

Colombo博士は、薬物溶出ステントの全体的な有効性は12ヵ月間持続したと語った。累積イベント発生率はコントロール群で21.7%(263例中57例)、TAXUS SR群で10.9%(129例中14例)とTAXUS MR群で9.8%(132例中13例)であった。

博士は6ヵ月と12ヵ月における標的血管の再灌流施行頻度を比較しているが、データはほぼ同一であった。6ヵ月目の標的血管再灌流率はむき出しのメタルステント群で高かった:13.2%(265例中35例)対TAXUS SR群とMR群でそれぞれ4.6%(130例中6例)と3.1%(129例中4例)。

ここでも薬物溶出ステントの有効性は12ヵ月間持続した。留置後6ヵ月が経ってから標的血管の再灌流を必要としたのはTAXUSステントが留置された群では260例中1例に止まったが、コントロール群では3例がそれを必要とした。


TAXUSステントが留置された患者の6ヵ月目の主要冠動脈イベントフリーの生存率は、メタルステント群に比して8.8%高かった。12ヵ月においてはイベントフリーの生存率の差は10.5%であった。博士は、これらのデータからTAXUSステントはステント内再狭窄の発生を遅らせるのではなく実際にその発生を阻止することが示唆される、と語った。