経皮的冠動脈インターベンションは短期には有効性が明らかであるが、これらの治療を受けた患者はなお後になって心血管系のイベントを来すリスクをもつ。経皮的冠動脈インターベンションを受けた患者の40%が5年以内に心筋梗塞、2度目のインターベンション、バイパス手術を受けている。
Lescol投与とインターベンションの併用による予防試験(Lescol Intervention Prevention Study
[LIPS])は、血管形成術やその他のインターベンション治療を受けた患者でスタチンの効果を前向きに二重盲検的にプラセボと対照させて確かめた初めての臨床試験である。
LIPS試験には10ヵ国57の施設から全部で1,677例の患者(平均年齢60歳、男性約84%)が登録された。すべての患者でコレステロールのレベルは平均的であった。
患者は最初の冠動脈インターベンションが成功した後で、フルバスタチン40mg1日2回あるいはプラセボが投与され、それぞれの患者で少なくとも3年間の追跡が行われた。主要エンドポイントは心臓死、非致死的心筋梗塞、バイパス手術、経皮的冠動脈再灌流の繰り返しなどの冠動脈主要有害事象が発生するまでの時間であった。

フルバスタチンによる治療によって主要心臓有害事象(MACE)のリスクがプラセボ群に比して22%低下した(P = 0.013)。すべての主要および副次的エンドポイント発生のリスクはフルバスタチンによって改善を示した。
事前に特定した解析では、インターベンションの繰り返しが除外されたが、プラセボに比して34%のリスクの減少がみられた。糖尿病の合併は12%の患者にみられたが、この群で重症心臓イベント発生リスクは47%減少した(P
= 0.041)。多枝病変をもつ患者は全患者の37%を構成していたが、プラセボに比して34%がリスクの減少を示した(P = 0.011)。

安全性の解析でCPKの有意な上昇はみられなかった。フルバスタチンに関して、9,000例の患者をまとめた最近の解析でもCPKの上昇は臨床的に問題となるようなものではなく、プラセボ群と比べても有意な差はみられていない。
LIPS試験では心臓のインターベンション治療を行う患者では同時に脂質低下治療を開始するほうがよいことが示された。この結果からさらに糖尿病や多枝病変などを有するハイリスクの患者においても積極的な治療を行ったほうがよいことが示唆される。
重要なことは、この所見から経皮的冠動脈インターベンションを受けるすべての患者でLDLコレステロール値は100mg/dL以下に低下させるのがよいという勧告が支持されるということである。この勧告はNational
Cholesterol Education Programが公表した最も最近のガイドラインの一部となっている。
|