REMATCH試験(うっ血性心不全治療における機械的循環補助に対する無作為評価[Randomized
Evaluation of Mechanical Assistance for Treatment of Congestive
Heart Failure])では心臓移植が適応とならない末期心不全患者に対する機械的循環補助の効果が評価された。
左室循環補助装置は心臓移植までのブリッジ治療としてはきわめて有効である。REMATCH試験では補助循環装置Heartmate(Thoratec
Corp.)をパーマネントに装着された極度に進行した心不全患者で2年間にわたる死亡率が評価された。この治療法は最終的治療法(destination
therapy)と呼ばれている。
REMATCH試験は左室補助循環装置は最大限の内科的治療に比して2年間死亡率を33%減少させるであろうという仮説に基づいて行われた。REMATCH試験では死亡率の改善はさらに大きく46%の減少(2年生存率が28%
対 10%)したという画期的な成績が示された。

そこで、今回はどのような患者で機械的補助の効果が最も大きいかという検討がなされた。この新しい解析は、非常に重症で強心薬の治療を必要とするような患者で生存率に対する効果は大きく、QOLの改善も有意であろうという仮説に基づくものであった。
強心薬の使用が驚くほど多かったので、その影響が注目された。無作為に割り付けが行われた時、予測以上に多くの患者が静脈内に強心薬の投与を受けていた(129例中91例、71%)。
ベースラインで静脈内強心薬治療を受けていた患者は、REMATCH試験で登録された他の患者に比して臨床症状はより重症であった。すなわち、収縮期血圧はより低値、血清ナトリウムレベルの調節はさらに不安定、心内圧はより高値であった。
最大限の内科的治療を受けている患者に比して、ベースラインで強心薬の点滴を受けている患者の生存率は低い傾向が明らかであった(P
= 0.11)。

左室補助装置の効果はベースラインで強心薬の投与を受けている患者で大きかった。6ヵ月生存率は補助装置群で58%、内科的治療群で39%であった。1年間の生存率の改善は2倍に拡大した(49%
対 22%、P = 0.0016)。2年生存率は補助装置群で24%であったが、内科的治療の患者はすべて死亡した。
上述の生存率に対する補助循環装置の有効性は、ベースラインで強心薬の治療を受けていない患者では装置群と内科的治療群で生存率に対する有意な差がみられなかった所見と対照的である(P
= 0.52)。障害の軽い患者では補助装置によって生存率の有意な改善がもたらされることは期待できないと思われる。
QOLの解析でもREMATCH試験に登録された患者の中でベースラインで強心薬の投与を受けて生存している場合には、すべてにおいて有利で有意な改善が示されている。1年目における身体的および精神的機能の改善も、内科的治療を受けた数少ない患者に比して大であった。
REMATCH試験はNational Heart, Lung Blood InstituteとThoratec Corp.の両者の助成を受けた。
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