Julian J. P. Halcox博士は以下の演題名の研究を発表した。「冠微小動脈内皮細胞機能異常は長期追跡中の急性心血管イベントのリスクを高めることと結びついている」この研究では冠動脈疾患のある患者と無い患者を対象に、冠動脈内皮細胞機能と、予測されない急性心血管系イベントの発症の関係が検討された。300人の患者において心臓カテーテル中に、アセチルコリンとニトロプルシッドソーダの反応性による冠血管抵抗の変化が測定された。この後、患者は平均46ヵ月追跡された。結果が示すところによれば、冠微小動脈内皮細胞機能異常は冠動脈疾患の有無にかかわらず、急性心血管イベントの独立した予測因子である。内皮細胞に対する作動物質の反応性によって、冠動脈機能と予後に関する情報の両者が得られ、冠動脈造影と危険因子の評価の結果をよりすぐれたものにする。
David A. Kass博士は、進展したグリケーションの最終産物の交差結合を触媒作用的に切断する新しい薬剤ALT-711を、大動脈の伸展性が低下、すなわちコンプライアンスが低下した高齢者89人に投与した成績について発表した。この薬を投与すると、脈圧はプラセボ群の0.5mmHgの減少に比較して5.6mmHg減少し、大動脈の伸展性とコンプライアンスが増加した。この結果は、収縮期高血圧や脈圧の大きな高齢者人口が増加しているので、治療における重要な進歩であろう。
Paul Ridker博士はプラバスタチンの炎症/CRP評価(PRINCE)試験の結果を発表した。一次予防、二次予防のコホートにおいて、患者は前向き試験法で無作為に24週間1日40mgのプラバスタチンかプラセボを投与された。その結果、プラバスタチンの血清脂質の低下作用とは無関係に、炎症の指標である血漿CRPレベルの低下が認められた。このスタチンの炎症指標を低下させる作用と、スタチン投与による臨床的に有益な結果との間に関連があるか否かについて、更なる研究が必要であろう。